一人一人にあった喘息治療

喘息治療を受けていても、なかなか症状が良くならないと言われる方がいらっしゃいます。以前、喘息治療の見直しでも少し触れましたが、今、一人一人にあった喘息治療という概念が注目されています。従来のように重症度だけで治療方法を選択するのではなく、患者さんの形質・特徴を考慮して治療方法を選択することが大切です。自分の状態、今の治療方法を見直してみませんか。

▍Treatable traits
「Treatable traits」とは、最適な治療を提供するために配慮すべき患者さんの形質・特徴と説明することができます。患者さんのtraits(形質・特徴)は、症状の特徴だけではなく、その背景にある原因や生理学的特性、分子生物学的な病態機序など、さまざまな要素の有無や組み合わせで決まります。そのtraitsを考慮して最適な治療を提供すると、より治療効果を上げることができるという概念です。

▍traits
traitsには以下のようなものがあります。

肺に関すること
 気流制限
 好酸球性炎症
 気道感染
 咳反射過敏
 粘液過分泌
 動脈性低酸素血症または高炭酸ガス血症
行動・生活様式に関すること
 喫煙
 環境および職業性の暴露
 呼吸パターン障害
 吸入手技およびアドヒアランス
肺外に関すること
 不安神経症およびうつ
 誘導性喉頭閉塞
 鼻副鼻腔炎および鼻茸
 胃食道逆流症
 心血管疾患
 体調不良
 閉塞性睡眠時無呼吸
 肥満

当院での喘息治療は、これらの形質・特徴を問診、診察、検査から抽出し、一人一人にあった組み合わせを考慮しながら行っています。

例えば、肥満があって、睡眠時無呼吸があって、胃液が逆流している人に喘息の治療だけをしていても治りが悪いわけです。食事運動療法を行い、終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査で精査した後にCPAP療法を行い、胃酸を抑える薬を内服するとグッと治療効果が上がります。

自分のtraits(形質・特徴)を理解していますか。
traitsを知って、オーダーメード治療を行うことが、改善への近道です。