喘息の治療を見直す

喘息治療を受けていても、すっきりしないと言われ、当院を受診する方が増えています。一度、自分の状態、今の治療方法を見直してみませんか。

▍喘息の診断は正しいか?
喘息の診断は、問診で確認する症状や聴診所見、胸部レントゲンや肺機能検査などを組み合わせて、総合的に行います。病状が安定していると検査で異常が出ないこともあります。必ずヒューヒューゼーゼーいうとも限りません。逆に喘鳴があっても喘息と似た他の病気のこともあります。専門医に総合的に診断してもらうことをお勧めします。以前、他院で喘息と診断されていた方が当院を受診され、縦隔腫瘍であったり、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症だったりしたことがあります。

▍きちんと吸入できているか?
薬がきちんと飲めているか、正しく吸入できているか?当たり前のようで、ここができていない場合がよくあります。喘息治療でもっとも大切なことは、きちんと吸入することです。
こちらに吸入器別の正しい吸入方法を説明した動画があります。自分が使用している薬の吸入方法を再確認してみて下さい。

https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/inhalers/method01.html

全ての方に共通することですが、吸入薬が舌に残らないように、ホー吸入をして、吸入後は水でしっかりうがいをして下さい。ホー吸入とはハヒフヘホのホの口の形のまま吸入することを言います。この形だと舌の位置が吸入にもっとも適した状態になります。

▍喘息を悪化させる因子はないか?
喘息のコントロールを難しくする下記の因子があれば、対策をしましょう。
・ダニ、カビ、花粉、ペットの毛などのアレルゲンがはっきりしている場合は除去するようにしましょう。抗アレルギー薬を内服するのも良いでしょう。
・鼻炎があれば治療をしましょう。成人喘息の40%以上にアレルギー性鼻炎が合併しています。
・喫煙している人は禁煙して下さい。受動喫煙も避けて下さい。
・肥満も増悪因子です。体重コントロールは喘息症状や肺機能を改善させます。
・胸やけや口の中が酸っぱい感じはありませんか。逆流性食道炎も咳を悪化させます。
・呼吸器感染症を合併している場合は併せて治療が必要です。ワクチンでの予防も有用です。
・他疾患で内服中の薬の中には喘息を悪化させるものがあります。主治医や薬剤師に確認してもらいましょう。

▍症状にあった薬が出ているか?
以上のようなことを確認した上で、十分な標準治療をすることが大切です。症状が改善しても気管支の慢性的な炎症を改善するには時間がかかります。途中で治療を中止しないようにしましょう。