COPD(慢性閉塞性肺疾患)

COPD(シーオーピーディー)は、以前は慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称です。自分では気がつかないうちに病状が進行するタバコ病です。喫煙者の方で思い当たる症状はありませんか?早期発見が重要です。

▍症状
COPDの症状として以下のようなものがあります。
・慢性的に咳や痰が出る
・階段や坂道を上ったりすると息苦しくなる
・ヒューヒュー、ゼーゼー、喘息のような音がする
・長い間タバコを吸っている(または吸っていた)

▍特徴
COPDはタバコの煙を主とする有害物質を長期間吸い込むことで、肺の中の気管支に炎症がおきる病気です。気管支が狭くなったり、その先端にある肺胞が壊れてしまったりします。肺胞は酸素と二酸化炭素のガス交換を行うところなので、ここが壊れるとガス交換の効率が悪くなり、息切れがおきます。
COPDの進行はゆっくりで、ある程度進行しないと症状が出にくい病気なので、多くの人が診断されず、治療を受けていないのも特徴です。しかし、一度肺胞が壊れてしまうと元には戻らないので、病気が進行する前に見つける必要があります。
診断は肺機能検査と胸部X線写真やCTで行います。WHO世界保健機関は2020年にCOPDが死亡原因の世界第3位になると予測しており、世界的な取り組みが急がれます。

▍治療
タバコを吸っている人は、まず禁煙です。禁煙外来を受診するのも良いでしょう。加えて、咳や息切れを軽くするために、効果が長く続くタイプの気管支拡張薬(抗コリン薬・β2刺激薬・テオフィリン薬)を使用します。これには効果や副作用の面から吸入薬が推奨されています。
COPDが進行すると、薬物療法だけでなく、呼吸リハビリテーション(口すぼめ呼吸や腹式呼吸などの呼吸訓練)や在宅酸素療法(機械を使って、自宅で酸素を吸入する治療法)が必要になります。さらに呼吸不全が進行した場合は、小型の人工呼吸器とマスクを使って呼吸を助ける換気補助療法が行われることもあります。症例によっては膨らみ過ぎた肺を切除する外科手術(肺容量減少術)が検討されることもあります。併せて、インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンの接種、栄養療法も行うと良いでしょう。COPDは全身的な管理を必要とする病気です。