気管支喘息・咳喘息

喘息(ぜんそく)の患者数は
過去30年間で3倍に増加し、
日本では1000万人と言われています。

とても身近な病気ですが、わかりにくいところもあります。
長引く咳の原因の上位にくる喘息について、この機会に知っていただけたらと思います。
あなたも実は喘息かもしれません。

気管支喘息、咳喘息の症状として
以下のようなものがあります

  • 夜間、早朝に咳が出る
  • 冷たい空気やタバコの煙を吸い込むと咳が出る
  • 雨天、運動、飲酒、緊張した時に咳が出やすい
  • 決まった季節になると咳がひどくなる
  • 呼吸とともに、ヒューヒュー、ゼーゼーという音がする(気管支喘息の場合)
  • 急に咳が出て、息苦しくなることがある

特徴

喘息は空気の通り道である気道に炎症がおきる病気です。
気道が狭くなるため、咳が出たり、息苦しくなったり、ヒューヒュー、ゼーゼーいったりします。この症状には波があり、様々な原因で良くなったり悪くなったりを繰り返します。
喘息の発症、悪化の引き金には、体質、アレルギー、大気汚染、かぜなどの呼吸器感染症が関係しています。

分子栄養学に基づいた栄養解析

小児喘息と成人喘息

喘息は子供に多い病気と思われがちですが、大人になってから発症する人もたくさんいます。さらに小児喘息が治ったと思っていても、実は治っていない人も結構いるので、注意が必要です。
成人喘息の10%は治療がしにくく重症化しやすい難治性喘息 です。また、アレルギーが原因でおきるアトピー型喘息は半分くらいなので、自分のアレルギーの原因を知り、環境整備をすることも、治療のためには有益です。

咳喘息

咳喘息は気管支喘息のように、ヒューヒュー、ゼーゼーいったりしませんが、気道に炎症がおきているのは同じで、気管支喘息の前段階とも考えられています。咳喘息は長引く咳の原因でもっとも多く、経過中に30%の人が気管支喘息に移行すると言われています。

診断方法

喘息の診断は、問診で確認する症状や聴診所見、胸部レントゲンや肺機能検査などを組み合わせて、総合的に行います。

病状が安定していると検査で異常が出ないこともあります。必ずヒューヒューゼーゼーいうとも限りません。逆に喘鳴があっても喘息と似た他の病気のこともあります。専門医に総合的に診断してもらうことをお勧めします。 以前、他院で喘息と診断されていた方が、縦隔腫瘍やアレルギー性気管支肺アスペルギルス症、好酸球性肺炎だったことがあります。

治療

吸入ステロイド薬がもっとも重要です。

喘息の治療には、気道の炎症をおさえる薬と気道をひろげて症状を軽くする薬を使用します。また、長期的に使用するものと発作時のみ使用するものにも分けられます。気道の炎症をおさえる薬の中心となるのは、吸入ステロイド薬です。これが喘息治療でもっとも大切な薬です。吸入薬は気管支に直接働くため、薬の量が少なくてすみ、ステロイドの全身性副作用は少ないと言われています。
喘息症状のない生活を目指して、治療効果をあげる上手な吸入方法を身につけましょう。

吸入器ごとの吸入方法をご紹介しているページです。各関連動画もありますので参考にして下さい。

症状にあわせた薬を選ぶ

一人一人にあった喘息治療という概念が注目されています。
従来のように重症度だけで治療方法を選択するのではなく、患者さんの形質・特徴を考慮して治療方法を選択することが大切です。

途中で治療を中止しない

症状はおさまっても、気道の慢性的な炎症は残っています。
これを治療せずに放置すると、喘息が悪化したり、治りにくくなったり、死に至る発作につながったりします。継続力も必要です。

注意が必要な合併症

喘息のコントロールを難しくする要因を紹介します。適切に診断し治療することが重要です。

  • アレルギー性鼻炎
    :成人では喘息の人の半分以上に合併、花粉症だと季節性
  • 副鼻腔炎
    :好中球性の蓄膿症と鼻茸を繰り返す好酸球性があり、後者はアスピリン喘息を合併
  • 中耳炎
    :好酸球性で適切な治療を行わないと難聴が進行することもある
  • COPD
    喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)、喫煙歴のある喘息の人が発症
  • 肥満
    :体重コントロールは喘息症状や肺機能を改善
  • 不安・抑うつ
    :ストレスとあわせて、喘息の悪化や難治化に影響
  • 胃食道逆流症(GERD)
    :胸やけや口の中が酸っぱい感じがして長引く咳の原因の一つ
  • 睡眠時無呼吸症候群
    :男性、肥満、体重増加や小額に合併
  • 好酸球性多発血管炎症肉芽腫症
    :喘息、好酸球性副鼻腔炎のあとに肺炎、血管炎を発症
  • アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
    :カビに対するアレルギーにより発症

その他に気をつけること

  • 禁煙して下さい。受動喫煙も避けて下さい。禁煙治療
  • 呼吸器感染症を合併している場合は併せて治療が必要です。ワクチンでの予防も有用です。
  • 他疾患で内服中の薬の中には喘息を悪化させるものがあります。主治医や薬剤師に確認してもらいましょう。