吸入手技を見直す
以前の症例コラムで、喘息の治療を見直すと題して、喘息治療を受けていても、すっきりしない理由を考えてみました。あれからちょうど3年が経過しますが、喘息と診断して適切な薬を処方しても、まったく良くならないと言われる方がいらっしゃいます。その原因としてもっとも多いのが、正しく吸入できていないということがあります。喘息のガイドラインにも喘息コントロールが不良な場合は服薬アドヒアランス(きめられた量の薬をきめられた頻度できちんと使用できているか)や吸入手技を確認して、合併症があればその管理もしっかり行うと書かれています。今回はこの吸入手技について、もう一度確認したいと思います。もちろん喘息の診断が本当に正しいのか、合併症はきちんと管理できているのかは、常に疑って確認しています。
▍吸入器の種類と特徴
吸入器は大きく分けて2つのタイプがあります。以前の症例コラム、喘息の治療効果をあげる上手な吸入方法で説明してありますので再確認して下さい。
▍吸入療法のコツ
最近、皆様の吸入手技を確認していて感じることは、早く強く吸いすぎている方が多いということです。早く良くなるために頑張って頂いているとは思いますが、この方法では薬剤の口腔内沈着が増えて、肝心な気道への到達が減ってしまいます。むせ込みや口腔内カンジダ、嗄声(声かれ)の原因にもなるので、見直しが必要です。以前の症例コラムでも説明していますが、とても大切なことなので再掲載しておきます。
・吸入前に水分を摂取するか、うがいをして喉を湿らせておく
・吸入前に息をしっかりと吐く、この時、器具に息を吹きかけない
・舌の位置を下げて、薬が舌に残らないように、ホー吸入をする
・吸入後の息止めを3秒以上、きちんと行う
・吸入後に息を吐く時は、口を閉じて、鼻から吐くと良い
・吸入後には、ガラガラ・クチュクチュと水でよくうがいをする
こちらに吸入器別の正しい吸入方法を説明した動画があります。自分が使用している薬の吸入方法を再確認してみて下さい。
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/inhalers/method01.html
*吸入が正しくできているか心配な方は、吸入手技を確認するためのトレーナーをお渡ししていますので、診察時にお申し出ください。
吸入手技を見直して、皆様の治療効果が上がることを願っています。