いつまで喘息治療を続けるのか?

気管支喘息、咳喘息で治療中の方が必ず思うことの1つに「いつまで喘息治療を続けるのか?」があります。ガイドラインにある喘息の治療目標をもとに、皆様にお答えしていることをまとめます。

▍喘息の管理目標
まず喘息症状をなくすこと
さらなる目標として「臨床的寛解」を達成すること
「臨床的寛解を達成できた場合は呼吸機能の正常化を目指すこと


▍臨床的寛解

臨床的寛解とは以下の3つの基準を満たすことをいいます。
・喘息コントロールテスト(ACT)が1年間23点以上
・増悪が1年間ない
  増悪とは喘息症状によって次のいずれかに該当した場合とする
  ①経口ステロイド薬あるいは全身性ステロイド薬を投与された場合
  ②救急受診した場合
  ③入院した場合
・定期薬としての経口ステロイド薬(プレドニゾロン等)が1年間ない

▍喘息コントロールテスト(ACT)
自分の喘息コントロール状態を簡単に調べられる質問です。自分の答えの()内の点数を合計して下さい。

Q1 この4週間に、喘息のせいで職場や家庭で思うように仕事がはかどらなかったことは時間的にどの程度ありましたか?
いつも(1)かなり(2)いくぶん(3)少し(4)全くない(5)

Q2 この4週間に、どのくらい息切れがしましたか?
1日に2回以上(1)1日に1回(2)1週間に3~6回(3)1週間に1,2回(4)全くない(5)

Q3 この4週間に、喘息の症状(ゼイゼイする、咳、息切れ、胸が苦しい・痛い)のせいで夜中に目が覚めたり、いつもより朝早く目が覚めてしまうことがどのくらいありましたか?
1週間に4回以上(1)1週間に2,3回(2)1週間に1回(3)1,2回(4)全くない(5)

Q4 この4週間に、発作止めの吸入薬(メプチンなど)をどのくらい使いましたか?
1日に3回以上(1)1日に1,2回(2)1週間に数回(3)1週間に1回以下(4)全くない(5)

Q5 この4週間に、自分自身の喘息をどの程度コントロールできたと思いますか?
全くできなかった(1)あまりできなかった(2)まあまあできた(3)十分できた(4)完全にできた(5)

点数:25点(満点) 好調です。このまま続けましょう!
点数:20点から24点 順調です。あと一息
点数:20点未満   まだまだです。もっとよくなります

あなたは何点ですか?喘息の症状に慣れてしまうと、コントロールが悪くても、気にならないことがあります。客観的指標で時々評価してみて下さい。コントロールされていない方は治療の見直しが必要です。

▍喘息治療のステップダウン
喘息治療は最初にしっかり治療を行い、病状が安定したら、徐々に薬を減らしていく、ステップダウン方式をとっています。ステップダウンを検討する条件として上記に示したように、喘息症状がない、臨床的寛解がえられている、呼吸機能の安定した状態が6ヵ月以上維持できている、があります。よって、
ステップダウンには時間がかかり、喘息治療は症状が落ち着いてからも長期間を必要とするということになります。

喘息は気長に付き合う病気です。もし治療を中断してしまっても、症状は再燃することが多いので、また治療しましょう。将来困らないように。