新型コロナウィルス感染症(COVID-19)後に続く咳

新型コロナウイルス感染症の後に、咳が続くと言って受診される方が増えています。
では、この症状はいわゆる後遺症なのでしょうか。

▍COVID-19後の症状の定義
厚生労働省が出した罹患後症状マネジメントブックはWHOの定義をそのまま引用して、

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後の症状は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に罹患した人にみられ、少なくとも2カ月以上持続し、また、他の疾患による症状として説明がつかないものである。通常は COVID-19 の発症から3カ月経った時点にもみられる。症状には、倦怠感、息切れ、思考力や記憶への影響などがあり、日常生活に影響することもある。COVID-19 の急性期から回復した後に新たに出現する症状と、急性期から持続する症状がある。また、症状の程度は変動し、症状消失後に再度出現することもある。

としています。
他の疾患でないという除外診断が必要で、持続期間も長いです。なかなかこの定義にあてはまる状態にはなりません。この症状はコロナ後遺症ですねと断定するのが難しい理由です。

▍当院での診療
当院では受診される方に問診、診察、適切な検査を行うことにより、肺炎、器質化肺炎、心疾患、気胸・縦隔気腫、肺血栓塞栓症、うつ・不安症などがないかを鑑別診断しています。しかし、ほとんどの方が感染後咳嗽か、もともと持っていた咳喘息・気管支喘息の悪化である印象を持っています。ウィルスの気道感染はこれらの疾患を悪化させますから当然です。

感染後咳嗽であれば、時間とともに自然軽快しますが、咳が激しいと体力を消耗しますので鎮咳薬を投与します。

咳喘息・気管支喘息であれば、吸入療法を行えば症状が消失します。

結局は長引く咳の原因の鑑別診断と治療を行うことになります。

*新型コロナウィルス感染症(COVID-19)後に続く咳でお困りの方は、自宅療養期間が過ぎてから受診して下さい。自宅療養期間中に改善する咳は、ほぼ感染後咳嗽で特別な治療は不要です。