難治性喘息と新しい治療方法

喘息の90%は今まで通りの標準治療で症状のコントロールができますが、残りの10%は難治性です。近年、病気の経過の違いによって、喘息には様々なタイプがあることがわかってきました。コントロールしにくい重症な喘息において、このフェノタイプを見極めることは、病気の根本原因に合わせた最適な治療を受けるために重要です。

▍難治性喘息
難治性喘息と診断する前には、
・喘息の診断は正しいか、喘息と似た他の病気はないか?
・薬がきちんと飲めているか、正しく吸入できているか?
・肥満や副鼻腔炎などの合併症は治療できているか、禁煙しているか?
・十分な標準治療がされているか?
などの確認が必要になります。

難治性/重症喘息には下記のようなタイプが含まれており、通常の治療に加えて新しい治療方法が出てきました。これらは専門施設での治療となります。

タイプ 特徴 治療薬(商品名)
アトピー型喘息 特異的IgE抗体を認め、
血清総IgE値が30~1500IU/ml
抗IgE抗体(ゾレア)
好酸球性気道炎症 血中好酸球数≧150~300/μl
あるいは喀痰中好酸球比率≧3%
抗IL-5抗体(ヌーカラ)
抗IL-5Rα抗体(ファセンラ)
好中球性気道炎症 喀痰好酸球<3%以下で
好中球数が多い
マクロライド系抗菌薬(クラリス)
その他   気管支熱形成術(気管支鏡で熱を加え気道を広げる方法)


▍注意が必要な喘息合併症
ここでは喘息のコントロールを難しくする注意すべき合併症を紹介します。

ACO(喘息とCOPDのオーバーラップ : 喫煙歴のある喘息の人に発症リスクが高い
アレルギー性鼻炎 : 成人では喘息の人の40%以上に合併する
慢性副鼻腔炎 : 副鼻腔炎の重症度が増すとともに喘息のコントロールも悪化する
好酸球性副鼻腔炎 : 鼻茸を繰り返し、アスピリン喘息の合併が多い
好酸球性中耳炎 : 適切な治療を行わないと難聴が進行することもある
好酸球性多発血管炎症肉芽腫症 : 喘息、好酸球性副鼻腔炎のあとに肺炎、血管炎を発症
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症 : カビに対するアレルギーにより発症