症例コラム 2019.7.12

気胸

気胸は胸の中に空気がたまって肺がしぼんでしまう病気です。原因は色々ありますが、最も多いのは自然気胸で、背が高くて痩せている若い男性に好発します。症状は軽いものから、緊急を要するものまであります。身近な病気で、突然発症するため、前もって知識があると慌てずにすむと思います。気胸は胸部X線写真（レントゲン）で診断できます。

▍症状
気胸の症状として以下のようなものがあります。

・突然、胸や肩から背中にかけて痛くなり続く、特に動くと痛い
・息苦しい感じがして、呼吸がうまくできない
・仰向けになるとポコポコというような音が聞こえる

緊張性気胸は、短時間で強い呼吸困難、酸素不足、ショック状態になることがあります。

▍特徴
自然気胸の原因は肺の上の方にできやすい嚢胞という袋が破れて肺に穴があく原発性と、他の肺の病気に関連しておきる続発性があります。肺気腫、間質性肺炎、悪性腫瘍、肺膿瘍、異所性子宮内膜症などです。また外傷でおきることもあり、この場合は皮下気腫や縦隔気腫を伴います。

気胸の中でもより注意が必要なものに、両方の肺が気胸になる両側気胸、胸膜に連なる索状血管が破れておきる血気胸、どんどん空気が漏れ続けて心臓や肺を圧迫する緊張性気胸があります。これらは命に関わるので、緊急で治療を行わなければなりません。

▍治療

安静

軽度の気胸は安静のみで改善します。

胸腔ドレナージ

中等度以上、緊張性、両側、血気胸は胸の外からチューブを入れて、胸の中にたまった空気を抜く治療が必要となります。原則入院です。

手術

再発を繰り返す、空気の漏れが続く、両側、血気胸、肺が十分に膨らまない場合は、手術を行います。胸腔鏡下の手術が主流です。

この他にチューブから血液や薬を入れたり、気管支鏡を使用したりして、空気漏れを止める方法があります。

▍再発
原発性は比較的治りやすいですが、続発性や外傷性は原因によって治りにくい場合があります。また気胸は再発しやすい病気で、保存的に治療した場合の初回の再発率は35～50％と言われています。手術を行うと1～5％ほどに低下します。