声がかすれる原因

声がかすれる状態を嗄声(させい)といいます。嗄声の原因には、声帯自体に問題がある場合と、声帯を動かす神経に問題がある場合があります。また喘息COPDで吸入療法をしていると声がかすれることは、よく経験することです。日常生活に支障が出る嗄声の原因と対処方法を考えます。

▍声帯自体に問題がある場合
・急性喉頭炎(風邪、声の出しすぎ、アレルギー反応、胃食道逆流、喫煙、飲酒)
・声帯ポリープや声帯結節
・喉頭癌、甲状腺癌
・加齢による声帯萎縮

・声帯の乾燥(加齢や更年期、薬物の影響)

大きな声を出した後や風邪に伴う嗄声など、一時的な場合は心配いりません。
大声を出すこと、喫煙、飲酒、香辛料の摂取はできるだけ控え、部屋の湿度を調整(60~70%)しましょう。水分補給も大切です。治療では、解熱鎮痛剤、粘膜の炎症を抑える薬の内服などを行います。

他にあきらかな原因がなく嗄声が続く場合は、まずは耳鼻咽喉科を受診して下さい。

▍声帯を動かす神経に問題がある場合(反回神経麻痺)
声帯を動かす神経に反回神経があります。この神経が麻痺すると声帯が動かなくなり、嗄声や誤嚥がおきます。この神経は胸部大動脈の近くを通るため、下記の病気が原因でも声がかすれることがあります。
耳鼻咽喉科で声帯麻痺があると言われたら、肺や大動脈を調べる必要があります。再び内科の出番です。
・大動脈周囲の腫瘍(肺癌、食道癌など)
・胸部大動脈瘤
・頸部や胸部の手術、外傷による神経損傷

▍喘息や吸入療法で声がかすれる場合
喘息になると声がかすれることがあります。喘息の病態は慢性的な気道の炎症なので、喘息患者さんの気道は過敏になっていて、アレルゲンやウィルス、タバコや冷たい空気などの刺激に弱いです。これにより喉がイガイガして声がかすれて咳が出るということがおこります。乾燥にも弱いため、ずっと話をしていると喉が乾燥してきて、咳が止まらなくなるという症状にもつながります。飴をなめると症状が楽になると言われることも多く、これは唾液で喉が潤うからで、水をこまめに摂取していただくと良いです。

また吸入療法の副作用として、声がかすれる場合には、以下の理由が考えられます。
・吸入ステロイ薬による声帯の筋力低下
・薬剤の乳糖成分などの刺激
・免疫低下でカンジダなどのカビが喉に付着

などの可能性が報告されていますが、喘息の治療に吸入ステロイドは必須です。

・食事の前に吸入して、吸入の前後でうがいをする
・吸入速度を動画を見ながら再確認する(早くても遅くてもダメ)
・ホー吸入で口腔内への薬の沈着を減らす
・吸入薬を変更する(粉から霧、ステロイドをやむを得ず中止など)
・水分摂取をこまめに行う
・カンジダが付着していれば内服治療する

などの対処方法で何とかなることが、ほとんどです。

診察時にチェックしていますが、ご相談下さい。