呼気NO(一酸化窒素)濃度測定の意義
新型コロナウィルス感染症のため、呼気NO濃度測定や肺機能検査といった、エアロゾルの発生しやすい検査が控えられていましたが、症例を選んで積極的に行えるようになってきました。今回は呼気NO濃度測定を行う意義をお伝えしたいと思います。
▍呼気NO濃度測定
気道に炎症(炎症の中でも好酸球性炎症)があると、炎症性刺激により健康な場合よりも多くのNOが産生されています。そのため呼気NO濃度を測定することで、気道の炎症状態を知ることができます。喘息は慢性的な気道の炎症でおきる病気なので呼気NO濃度を測定すると喘息かどうかの診断に役立ちます。ただしすべての炎症が好酸球性炎症だけではないので、判断が難しいこともあります。
呼気NO濃度の正常値は15ppb、22ppb以上は喘息の可能性疑い、37ppb以上はほぼ確実に喘息
といわれていますが、様々な因子の影響を受けますでの、問診や診察、他の検査とあわせて総合的に診断しています。
▍呼気NO濃度測定の有用性
当院ではこんな時に検査結果を役立てています。
・長引く咳の鑑別診断を行う・・・喘息なのかCOPDなのか他の疾患なのかの鑑別診断に役立てています
・喘息治療の効果判定を行う・・・咳が止まったから治ったではありません→気道の炎症もしっかり治しましょう
・喘息治療を終了したい時に行う・・・そろそろ治療終了したいな→炎症があればすぐに再燃します
▍呼気NO濃度測定時の注意点
呼気NO濃度を上げる因子にウィルス感染症、鼻炎・アトピー、硫酸塩を多く含んだ食材、気管支拡張剤
呼気NO濃度を下げる因子に肺機能検査後、水・カフェイン・アルコール、喫煙、吸入ステロイド
があり、これらの影響を加味して診断しています。
ですから、なるべく正確に検査を行うためには
・肺機能検査より先に検査する
・測定前2時間は飲食を控える
・喫煙の有無をチェックする
・風邪をひいている場合は4週間以上測定しない、または参考値とする
・ステロイド薬・ロイコトリエン受容体拮抗薬を服用していると低値を示すことがある
・アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎の影響を考慮する
といったことに注意が必要です。
呼気NO濃度測定検査は5分ほどででき、費用は3割負担の方で720円くらいです。
月に一度のみ検査可能となりますが、気軽に受けて、自分の状態を知ると良いでしょう。
診察時にご相談下さい。