呼吸不全

人間は大気中から酸素を体に取り入れて、二酸化炭素を体外に放出しています。この働きをするのが肺ですが、様々な原因で、この働きが低下した状態を呼吸不全といいます。
血液中の酸素が減少すると低酸素血症、不要になった二酸化炭素を排出できずに二酸化炭素が貯留すると高二酸化炭素血症になります。

▍検査
酸素飽和度 パルスオキシメーター(赤い光の出る指にはさむ装置)で測定します
動脈血液ガス分析 通常の静脈ではなく動脈から採血した血液で測定します
*パルスオキシメーターは簡易的に体の中の酸素の取り込み具合をみることができますが、二酸化炭素の測定はできません。呼吸不全の正確な診断には動脈血液ガス分析が必須です。

▍定義

 

動脈血酸素分圧 (PaO2)

動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)

酸素飽和度(SpO2)

Ⅰ型呼吸不全

60mmHg以下

45mmHg以下

SpO2 90%以下

Ⅱ型呼吸不全

60mmHg以下

45mmHgをこえる

SpO2 90%以下

慢性呼吸不全:呼吸不全が1ヵ月以上続く状態

▍原因
慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺結核後遺症、間質性肺炎、肺癌
筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィー など

▍症状
・低酸素血症の症状としては息切れ(呼吸困難感)があります。
・軽症では坂道や階段でのみ息切れ(労作時呼吸困難)を自覚します。
・重症になると、じっとしていても息切れがするようになります。
・高二酸化炭素血症の症状としては、頭痛、血圧上昇、意識の低下があります。
いずれも、ゆっくりと病気が進行した場合には、体が慣れてしまって、症状に気づきにくいことがあります。

▍治療
在宅酸素療法 自宅で大気中の酸素より濃い濃度の酸素を機器で作り吸入する
換気補助療法 二酸化炭素が増加した場合はマスクを使用して人工呼吸器で呼吸を補助
呼吸リハビリテーション 日常生活の指導、運動療法、栄養指導、肺理学療法などを行う

*その他、原因となっている疾患に対する治療が必要です