アレルギー免疫療法
アレルギー免疫療法は減感作療法とも呼ばれ、アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法です。アレルギー症状を治す可能性のある治療法と考えられています。
現在、保険適応があるのは、スギ花粉症とダニ通年性アレルギー鼻炎だけですが、アレルギー性結膜炎や気管支喘息にも効果があると言われています。
▍主なアレルゲン免疫療法薬
アレルゲン免疫療法薬には以下のようなものがあります。
スギ花粉 | ダニ | |
皮下(SCIT) | 治療用標準化アレルゲンエキス | 治療用ダニアレルゲンエキス |
舌下(SLIT) | シダキュア(舌下錠) シダトレン(舌下液) |
ミティキュア(舌下錠) アシテア(舌下錠) |
歴史があるのは皮下注射ですが、現在は自宅で治療を受けることができる、全身性の副作用が少ないなどの理由から、舌下免疫療法が主流となっています。しかし、アナフィラキシーショックなど死に至る可能性がある重篤な副作用がおきることもあり、トレーニングを受けた専門的な知識・技能がある医師のもとで治療を行うことになっています。
▍舌下免疫療法
舌下免疫療法の実際の流れを説明します。
問診、診察、採血検査などでスギ花粉症またはダニ通年性アレルギー性鼻炎と診断
重症の気管支喘息、悪性腫瘍、免疫系に影響を及ぼす全身性疾患のある人は除外
β遮断薬、三環系抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬、経口ステロイド服用者
重症の心疾患、肺疾患及び高血圧、高齢者、妊婦、授乳婦も原則投与しない
治療は1日1回舌下に薬剤を投与
初回投与は医療機関内で行い、その後30分間は医師の監視下で待機
以降は自宅で継続
投与前後2時間は入浴、飲酒、激しい運動を避ける
月に1-2回は継続した通院が必要
治療期間は2年以上、3~5年が推奨される
有効性
8割前後の方に、くしゃみ・鼻水・鼻づまりの改善、涙目・眼のかゆみ改善、アレルギー治療薬の減量、生活の質の改善などの効果が認められています。
安全性
副作用としては、口腔内の腫れやかゆみが最も多く、通常は自然に回復することが多いです。アナフィラキシーショックなどの重篤な副作用がおきることもあり、注意が必要です。