気管支喘息、咳喘息
喘息(ぜんそく)の患者数は過去30年間で3倍に増加しています。とても身近な病気ですが、誤解もあります。この機会に喘息について知っていただけたらと思います。
▍症状
気管支喘息、咳喘息の症状として以下のようなものがあります。
・夜間、早朝に咳が出る
・冷たい空気やタバコの煙を吸い込むと咳が出る
・雨天、運動、飲酒、緊張した時に咳が出やすい
・決まった季節になると咳がひどくなる
・呼吸とともに、ヒューヒュー、ゼーゼーという音がする(気管支喘息の場合)
・急に咳が出て、息苦しくなることがある
▍特徴
喘息は空気の通り道である気道に炎症がおきる病気です。気道が狭くなるため、咳が出たり、息苦しくなったり、ヒューヒュー、ゼーゼーいったりします。この症状には波があり、様々な原因で良くなったり悪くなったりを繰り返します。喘息の発症、悪化の引き金には、体質、アレルギー、大気汚染、かぜなどの呼吸器感染症が関係しています。
▍小児喘息と成人喘息
小児喘息は2~3歳までに60~70%が発症し、思春期になると症状が軽くなりますが、30%の人が成人喘息へと移行していきます。大人になってから喘息になる人は、成人喘息の70~80%を占め、40~60歳代で発症する人が60%以上を占めます。よって、喘息は子供に多い病気と思われがちですが、大人になってから発症する人もたくさんいます。さらに小児喘息が治ったと思っていても、実は治っていない人も結構いるので、注意が必要です。成人喘息は慢性化、重症化しやすく、治療の難しい喘息が5~10%を占めます。また、アレルギーが原因でおきるアトピー型喘息は60%くらいなので、自分のアレルギーの原因を知り、その原因を避けて生活することも、治療のためには有益です。
▍咳喘息
咳喘息は気管支喘息のように、ヒューヒュー、ゼーゼーいったりしませんが、気道に炎症がおきているのは同じで、気管支喘息の前段階とも考えられています。咳喘息は長引く咳の原因でもっとも多く、経過中に30~40%の人が気管支喘息に移行すると言われています。
▍治療
喘息の治療には、気道の炎症をおさえる薬と気道をひろげて症状を軽くする薬を使用します。また、長期的に使用するものと発作時のみ使用するものにも分けられます。気道の炎症をおさえる薬の中心となるのは、吸入ステロイド薬です。これが喘息治療でもっとも大切な薬です。症状はおさまっても、気道の慢性的な炎症は残っています。これを治療せずに放置すると、喘息が悪化したり、治りにくくなったり、死に至る発作につながったりします。吸入薬は気管支に直接働くため、薬の量が少なくてすみ、ステロイドの全身性副作用は少ないと言われています。喘息症状のない生活を目指して、きちんと吸入治療を続けましょう。